スマートグラスの普及に伴う新たな事業創出チャンス

MAD Gaze GLOW "GLOW Plus" より引用
MAD Gaze GLOW “GLOW Plus" より引用

スマートグラスの爆発的な普及はもうすぐ

私たちは、パソコン、携帯電話、スマートフォン(スマホ)と、ここ20年ばかりの間に三回程度のディスプレイインターフェースの変革に遭遇してきています。

ディスプレイインターフェースの変革が起こる度に、新たなコンテンツと、コンテンツを操作する新しいインターフェースが生まれ、それに伴い様々な企画やアイディアが生まれて多くのサービスが発展してきたと思います。

こういったIT業界での変革期は、新たな事業を考えるチャンスでもあります。

そんなディスプレイインターフェースの大きな変革期がもうすぐ訪れると思います。
現在、我々が仕事で使用している液晶モニタやスマートフォンに搭載されている液晶ディスプレイは、今後、スマートグラスやVRゴーグルに代替されることが予想されます。

BOORSTER等のクラウドファンディングやスタートアップなどでも、現在出資が多く集められています。

どこでも自分だけの大画面! 家庭用AR/MRグラス MAD GAZE GLOW

PCの液晶画面やスマートフォンの液晶画面を見るのではなく、スマートグラス越しに見ている現実世界に情報が表示され、それを直接操作する時代はもうすぐそこまで来ています。

普段使用している、メガネやサングラスのレンズ部分に直接、コンテンツが表示されるイメージですね。

例えば、カフェでパソコンを使用するときは下記の感じになります。

MAD Gaze GLOW "GLOW Plus"
MAD Gaze GLOW “GLOW Plus" より引用

ノートパソコンの液晶を見るのではなく、スマートグラス上に表示される内容を見て、手元のキーボードやマウスで仕事ができるわけです。

こういった変革期には、新しい技術に対応したアイディアが多く考えられ、色々な企画が考案できるチャンスでもあります。

今回は、数年以内に爆発的な普及が始まるであろう、スマートグラス、VRゴーグルについて考えてみたいと思います。

 

AR、MR、VRとは?

一旦、簡単に説明してみます。
特に、この三者の違いが意外とわかりにくく、一般人を寄せ付けていない気がします。

ARとは

「Augmented Reality」の略。
「拡張現実」と呼ばれ、現実世界にCGなどで作るデジタル情報を表示。現実の世界に、仮想現実を反映(拡張)させる技術のこと。
VRは「別の仮想空間」を作り出すのに対して、ARは現実世界が主体となってその現実上に仮想(デジタル)の情報(コンテンツ)を表示する。

MRとは

「Mixed Reality」の略。
「複合現実」と呼ばれ、仮想世界を現実世界に重ね合わせて体験できる技術。
主体は仮想世界(デジタル空間)となり、現実世界の情報を直接、仮想世界に反映する。仮想世界に現実世界の情報を表示できるため、同じMR空間にいる複数の人間が同じ仮想空間で、現実世界の情報を共有したり体験することが可能。

VRとは

VRは「Virtual Reality」略。
「仮想現実」とは呼ばれ、視界をゴーグルで一切塞ぎ、そのゴーグル内のディスプレイに映し出された「仮想世界」内に、自分が実際にいるような体験ができる技術のこと。
現在は、様々なVRゲームをはじめとしたコンテンツがリリースされており、また、色々な種類のヘッドセットやVRゴーグルも発売されている

といった分類になります。
特に、ARとMRがわかりにくいですね。
基本的には、

  • 現実世界をベースにデジタル情報を表示するのがAR
  • 仮想世界をベースに現実世界の情報を表示するのがMR
  • 仮想現実のみを表示するのがVR

となります。

スマートグラスは、メガネ越しに色々な情報やコンテンツが表示されるイメージです。
ですので、AR、MRに近い形になると思います。
将来的には、AR、MR、VRといった区分けはなくなることが予想できます。

例えば、

  • 歩きながら位置情報やマップを等を見たい時はARで表示
  • 研修などで現実にある機器の操作を練習する時はMRで表示
  • クリエイターが作成した完全仮想現実のバーチャルライブを楽しむ時はVRで表示

となります。
スマートグラス自体が、AR、MR、VRの三者の機能を搭載することが予想できます。

 

情報やコンテンツを表示する方法も変化
→ 新たなアイディア、事業企画を考えるチャンス

携帯電話やスマートフォンの普及で、それまでPCなどで表示されていた、Webサイトで表示することも変化してきました。

例えば、スマートフォンの普及に伴い、スマートフォンの幅に合ったWebサイトのデザインであったり、画面のサイズに合わせてWebサイトのデザインや構成が変化するレスポンシブウェブデザインが開発されました。
ハンバーガーメニューと呼ばれる、画面右上や左上に表示されるメニューボタンもスマホ時代に入って開発されましたね。

それまで一部のコア層(オタク層)のみが遊んでいたオンラインゲームもソーシャルゲームとして一般層にも普及して、オンラインゲーム内のガチャ自体も一般層に幅広く普及しました。

20年前のオンラインゲーム元年にこの手の事業に手を染めて、ガチャビジネス初期に携わっていた私は、普通の人達がデジタルコンテンツのガチャをお金を払って回している状況が本当に信じられなかったりします。

FPS(ファーストパーソンシューティング)と呼ばれる、多人数で銃を撃ち合って相手を倒すゲーム自体も、以前はごく一部のユーザーのみにプレイされていましたが、現在は女性を含めた一般層の多くプレイしています。
これも、スマートフォンの普及によるところが大きいと思います。

YouTubeの普及自体も、スマホの普及によるところが大きいと思います。
それまで、家のPCでしか見られなかったYouTubeの動画が、スマートフォンを使用して家の外でも気軽に楽しめるようになったこと。
スマホのカメラ性能やメモリ容量、通信速度の向上、編集アプリの簡易化によって、誰でも気軽に動画アップロードできるようになったことでYouTuberといった職業も登場しました。

現在、一部の人達だけが楽しんでいる、VRを中心としたゲームなどは、スマートグラスの普及に伴い、一般層へも広がっていく可能性があります。
また、現在、医療等の技術研修等での利用が多いMR自体も、企業の研修などで普通に利用されていくと思います。
一部のアーティストやコンテンツメーカーだけが現在リリースしているARコンテンツ等は、そういった技術に詳しくない一般層がARを使用した作品をスマートグラスを通した世界に気軽に展示できるようになるかもしれません。

まず起こるのはインターフェースの一大革命

これまでのディスプレイインターフェースは、二次元を主体として構成されていました。
3Dもありましたが、これは三次元で作られたコンテンツを二次元で表示していたこともあり、表現の限界がありました。
しかし、スマートグラスの場合は、目の前の世界をすべて疑似世界で構成することが可能になります。表示する技術自体は二次元ではありますが、体感する世界は三次元となります。

BOOSTERの動画にもありましたが、よくSF映画などで、空間に浮かんだ情報を手で操作していくシーン、あのようなインターフェースの一般的な需要が生まれるかもしれません。

また、スマホやタブレットの普及に伴って”タップ”という新たな手法が生まれたのと同じように、スマートグラスを利用した新たな操作方法のアイディアを企画化して製品化することもできます。

まずは身近なところから考えてみると、Webサイトを表示するブラウザのインターフェース自体が変わっていきそうですね。
スマートグラス用の新しいブラウザや、Webサイトの作り方等を考え、それを事業化していくことも企画開発することもできます。

ポケモンGOの様な実際の街を歩きながら行えるゲームは、スマートグラス上にコンテンツを表示することで、より面白くなりそうです。
毎日の通勤通学をRPGにしてしまうゲームも考えられますね。

デジタル書籍や新聞も、リアルな本や新聞のようにしてしまい、手でページをめくったりできるようにすると、アナログな感覚をスマートグラス内で実現出来るので楽しそうです。
自分専用の書棚と書籍専用の部屋をバーチャル世界に作り出し、いつでもスマートグラスを通して自由に入ることができるようにしても良いですね。

世界の名画をAR化して、それを自分専用の美術館に飾っていくことができるコンテンツなんかも楽しそうです。
自分専用の美術館をバーチャルな世界に構築して、スマートグラスでいつでも館内を歩き回っての楽しめるコンテンツなんかも世界で売れそうです。

既にFacebookは、Oculus VRを使用したVRミーティングなどに使用できるビジネス向けサービスを正式発表しています。

Oculus VR、「Oculus for Business」正式提供開始 VRのビジネス利用を本格化

Oculus for Businessを利用したデザインのディスカッション

このように、インターフェースの大改革時には色々なアイディアや発想を企画して事業化できるチャンスだと思います。
現在は少し高額ですが、スマートグラスやVRゴーグルを購入しアイディアを発想して企画化することで、次世代の事業を考えつくと思います。

少し前にはフィクションでしかなかった世界がどんどん現実になっていく世界。
新しい技術をつかって色々な創造をしてアイディアを出し合い、それを企画化、事業化していくのはとても楽しいですね。