バーチャ・プランニング5 - 対象母数の考え方と利用

2020年4月19日

バーチャ・プランニング5 - 対象母数の考え方と利用
バーチャ・プランニング5 - 対象母数の考え方と利用

前回は、「シミュレーションを作成する前提」について解説しました。
今回は、対象とするユーザーの母数に対する考え方やその利用方法について一旦、解説します。

対象となるユーザー群を如何に自分の事業に取り込んでいくかを、
以前参画した有名アニメ「G」のMMOゲームのプロモーションを事例にお話します。

目標となる母数の把握と設定

有名アニメGのユーザー数はだいたい年間、200万人~250万人ほど存在します。
アニメGをプロデュースする各社は、だいたい毎年これくらいの人数のファンが確保できる様に、日々投資を行い施策実施しています。
私の場合、版元さんから教えていもらいましたが、G関連の各種商品、サービスなどからも推定が可能です。
当時、このGユーザーの中でゲームをプレイするユーザーは、50万人ほど存在しました。こちらも、例えばファミ通等で以前発売したタイトルの販売数から推定することが可能です。

プロデュースするアニメGのMMOゲームの対象となるユーザー、母数はこの50万人に設定します。
この50万人に如何に効率良く自社のMMOゲームに登録、そして課金化することがミッションとなります。

まず、この50万人との接点を作り出せる方法を、洗い出していきます。(参照:SEOから入ると失敗する-2 集客の手段

集客の手段

集客の手段を、再度、洗い出してみると、

リアル

  • 電波系(TV、ラジオ)
  • 紙(雑誌、新聞、チラシ、パンフ、ダイレクトメール等)
  • 交通(路面看板、車内広告)
  • 店頭
  • 営業

Web

  • 検索流入(SEO)
  • SNS
  • 広告流入
  • ダイレクト

等、になります。

集客効率の良い、各メディアを検討して組合せ

Gのユーザーを最も効率良く集客してゲームに登録、課金化できるメディア(手段)を個々に検討していきます。

例えば、電波系のTVでしたら、Gのユーザーが最も多く見ている番組からピックアップしていきます。
当時は、アメトークでG好き芸人の回が人気が出ていました。アメトークにCM枠を押さえ、同じ企画番組があれば、そこには厚めにCM投下します。
また、アニメG好き芸人として出演、当時最も売れておりイメージも良く露出の多い、芸人TでCMを制作することも企画します。

芸人T = 自社のアニメGゲーム

といったイメージを持ってもらい、芸人Tが露出する度に、当社のゲームを連想してもらうためです。
他のアニメ番組でGファンの多そうなものをピックアップして放映枠を追われていきます。

交通広告、イベント実施等は対象ユーザーの多い、秋葉原、新宿、池袋を中心に設定。
イベントは雑誌、ニュースサイト、ゲームメディア、YouTube等、SNSと連動していきます。
ゲーム雑誌、メディア、アニメ誌では、定期的に企画記事を掲載。記事はイベント会場等で配布できるように冊子にします。

Web上では、もちろん、LPを始めとした登録誘因サイトを設置。一定額をリスティングに投下して、認知したユーザーが検索した際の取りこぼしを防ぎます。

SNS×ゲームで検索から大量流入を獲得

運営中も流入増加が図れるように、私の方で新たな企画を提案しました。
当時は、まだgoogleにスパム扱いされていなかったので実現できたアイディアです。(現在はコンテンツファームという扱いになってしまうのでスパムに扱いになります)
アニメGの自社ゲームに登録すると、自動的に専用のブログに登録、その人のブログが開設され、ゲームをプレイする毎にプレイした内容(獲得したアイテム等)が自動でブログに記事になり、自分のプレイブログが自動的に生成される仕組みです。
アニメ内(ゲーム内)に出てくる各キャラクター名、アイテム名が、googleに大量にインデックスされるようにSEOを実施しました。
この「ゲーム×ブログ」の企画は、ゲームリリースと同時にリリースされ、開始1ヶ月で2,000万PVを達成。毎月、検索から大量の流入をかせぎだし、継続率の悪いと言われていたアクションゲームのデメリットを補ってあまりある成果を出しました。

このアイディアは、もともと別会社で私が企画してプロデュースしていたキャラクターゲームを運営していたときに考えたものでした。
ゲームを遅くまでプレイした後に、プレイ日記を自分のブログにゲーム画像と一緒にアップしてくれるユーザーが大量おり、その個々のブログで認知が広がって流入へと繋がっていたため、これを意図的に仕組化できないかと考えたのが企画のはじまりになります。
まだ若造でしたが、このアイディアで起業を進めたところ、リーマンショックで出資企業が上場廃止に。泣く泣く、別の会社でリリースしたアニメGのオンラインゲームで実現しました。

以上の様に、

  1. 対象となる母数の把握と設定
  2. 顧客接点を確率する各メディア(手段)の検討と組合せ

を行い、対象となる顧客群を効率的に自社の登録サイトに誘因、登録数を可能な限り増加させる事が必要です。
対象とするユーザー群がゲームにマッチングしていれば、登録後の購入率も自ずと安定化します(サイト内、ゲーム内で購入率増加のための施策も必要)
効率が上がれば上がるほど、1人当たりの獲得単価が減少して、広告費に投下した投資額に対しての登録数が上昇していきます。

次回は、広告費の投資額の算出方法へ繋がるシミュレーションを作るための各種要素の収集について解説します。

次回に続きます → バーチャ・プランニング6 - シミュレーション要素の収集