バイク用ドラレコとして「FITT360PB」「Insta360 ONE RS」は使えるの?1年ほど利用して「MITUBA EDR-21α」と比較検証
首掛けドラレコ「FITT360PB」と、360度全方位カメラ「Insta360 ONE RS」は、バイク用のドラレコとして使える(代用)できるのかどうか?
バイク用ドラレコとして「FITT360PB」を1年、「Insta360 ONE RS」を半年使用した上で、最近ミツバサンコーワの「MITUBA EDR-21α」に乗り換えたので、各商品のメリデメを説明します。結論「MITUBA EDR-21α」が一番楽で確実です。
結論(サマリー)
FITT360PB
「FITT360PB」は複数台バイクを所持していたり、レンタルバイクで色々なバイクに乗る人には良いかと思います。360度全方位カバーできるのもメリットです。しかし、首周りがすっきりとした状態でないと使用できない、バッテリーの持ちが悪いので、長時間使用する場合はモバイルバッテリーなどへの接続が必要、SS(スーパースポーツ)の場合はカメラが下を向くので撮影できないといったデメリットがあります。
Insta360 ONE RS
「Insta360 ONE RS」は、設置するポジションによって、画角が制限されます。ハンドルマウントの場合は、自分の身体が写ってしまうため、後方の録画ができません。
ヘルメットマウントの場合は360度撮影可能ですが、風の影響を受けやすく、高速などでは首が辛いです。
最大のデメリットは、ファイルシステム上、30分ごとに10秒程度のインターバルが入ってしまうので、この間は撮影されません。この間に事故が起こると、録画が残りません。
MITUBA EDR-21α
「MITUBA EDR-21α」は、所有バイクが一台で、レンタルバイクなども乗らないのであれば、一番手間なく利用できる上、バイク用ドラレコ専用として作られているので、裁判などの証拠能力も高そうで、安心感があります。しかし、全方位ではなく、前後範囲の撮影しかできません。
事故時の証拠集めは自分で行う必要アリ。
警察は何もしてくれないと思った方が良い
はじめに。私はバイクに乗る際、ドラレコは必須アイテムだと思っています。
私は、大手弁護士事務所に勤務していたこともあり、事故などが起こった際には、ドラレコに録画された情報が証拠として利用できるのとできないのでは、保険金の支払いや裁判などで大きな差がでてしまうことを良く知っています。ドラレコで録画された証拠がないと、事故を起こした時、保険料の支払請求も訴訟進行も相当厳しくなることが予想されます。
事故になったら警察が色々証拠集めしてくれると思うと思いますが、型通りの捜査以外、警察ではやってくれません。相手方や保険会社との交渉、裁判で使用する証拠などは自分で集める必要があります。
ドラレコで録画された情報は、自分で抑えることができる、事故時のとても重要な証拠となります。
自分は運転がうまいので、事故を起こさないと思っている人は、特に注意が必要です。
あなたが運転が上手くても、周りで自動車などを運転している人が運転に慣れているとは限りません。
また、例えば、瞬間的に意識を失った運転手の車が、死角から突っ込んできた場合、いくらバイクの運転に秀でていようが、避けきれるものではありません。360度同時に見られるNTなら別ですがw
世の中、
「バイクはドラレコ積んでないから、ちょっとくらいぶつけても大丈夫」
くらいに思っている輩(犯罪者予備軍)が結構いたりします…(もちろん、良識的な人もたくさんいると思いますが)
訴訟の当事者から、
「え、あのバイクドラレコ積んでたんだ。なんだぁ、しまったなぁ…」
なんて聞くとホント、ゾッとします。(あえて業種は書きませんw)
首掛けバイク用ドラレコ「FITT360PB」
昨年の10月末にBonnebile T120が納車されてから、バイクに乗る際には必ず、「FITT360PB」で撮影しながら走っていました。
これまで一番長く使ったバイク用ドラレコなので、色々と検証できました。
「FITT360PB」のメリット
360度全方位撮影可能
バイク用ドラレコといえば、MITUBA製のドラレコが一般的ですが、前後の撮影のみ可能で、左右の撮影ができないと思います。
その点、「FITT360PB」は360度全方位撮影することが可能です。
「FITT360PB」は360度全方位撮影することが可能。前方についた左右2つのカメラが、左前方から左後方、右前方から右後方、後部カメラが後方を撮ることで、360度をカバーしています。
取付型ではないので、色々なバイクに使用できる
取付の必要のない、首掛け式なので、バイクを複数台持っている人やレンタルバイクを借りる際なども使用できます。
「FITT360PB」のデメリット
襟やフードがある洋服やマフラーは使用できない
「FITT360PB」は、前方についた2つのカメラが、右前方から後方、左前方から後方、後部カメラが後方を撮ることで、360度をカバーしています。
首にかけているので、カメラ部分に、ジャケットの襟やフードが被ってしまうと撮影できないため、首周りになにかある洋服は使用することができません。
商品の公式サイトの写真の中にも、「これ後部カメラに服被ってるから写ってないのでは?」というものがありますw
また「FITT360PB」のサイズは意外と小さいので、マフラーを巻いてしまうと、「FITT360PB」を首に装着することができなくなります。
正直、最大のデメリットはここかもしれません。
後で録画を見てみると、襟が被っていて右前方から右後方が撮れていなかったり、ジャケットのフードが被っていて後方が撮れていないなんてことが良くあります。
脱着が面倒。録画ボタンを押すのを忘れることも
ヘルメットを被ってグローブを付けてと、バイクに乗る際は色々とやることがあると思いますが、これに「FITT360PB」のメイン電源ボタンを5秒押して、首に装着して、録画ボタンを数秒押してという手間が一つ増えます。
「MITUBA EDR-21α」ならバイクの電源が入れば自動で撮影が始まりますが、「FITT360PB」は自分で録画ボタンを押す必要があります。高速道路で走り出してから録画ボタンの押し忘れに気がつくなんてことも。ボタンが小さいので、走行中にグローブをつけたままだと録画ボタンを押すのはなかなか難しかったりします。
また、バイクから降りたときも、録画スイッチを切って、首から外して、メインスイッチを切って、モバイルバッテリーとつなげている場合は、モバイルバッテリーも取り出して、バッグにしまって、持ち歩くと、毎回やってみると結構な手間になります。
前傾姿勢で乗るバイクでは撮影できない
首に装着して使用するため、SS(スーパースポーツ)等、前傾姿勢で乗るバイクの場合は、カメラが天地を向いてしまうので、周辺の撮影ができません。
メインスイッチが押しにくい場所にある
首に装着してから、メインスイッチの押し忘れに気がついた場合、首から外して、後ろについている蓋を明けて、スイッチを5秒ほど押す必要があります。
モバイルバッテリーからUSBで電源を取っている場合は、蓋は開けっ放しになりますが、コードが邪魔になります。
装着パーツがすぐぶっ壊れる
首に装着する際のパーツが脆く、半年ほどの使用ですぐに割れます。
外した瞬間に、根本がボッキリと折れてしまいました。
また、マジックテープがついたパーツと入れ替えることもけっこうあるのですが、留具のピンがすぐに折れました…
換えのパーツはどこで売ってんだか?w
マジックテープが刺さってチクチクする
マジックテープで首に固定できるパーツもあり、高速道路などではこちらを使用しますが、このマジックテープが肌に当たると、チクチクとしてとても不快。
これ作った人、自分でつけてみたのかなと疑いたくなります。
ヘルメットと干渉する
首に装着するので、ヘルメットの縁と干渉します。
上を向いたり、左右を向く際に、「FITT360PB」とヘルメットがこすれて、これが毎回になるとけっこう気になり、不快です。
バッテリーの持ち時間は150分程度・充電しながらの使用は可能
バッテリーは2時間半程度しか持たないため、ロングツーリングの場合は、別途、モバイルバッテリーを接続するか、途中で充電する必要があります。
私は、モバイルバッテリーに接続していましたが、脱着の際にいちいち接続が必要なため、手間が増えます。
360度全方位カメラ「Insta360 ONE RS」
「FITT360PB」と併用して、半年ほど「Insta360 ONE RS」を、ハンドルマウント、ヘルメットマウントして、撮影用兼バイク用ドラレコとして利用していました。
「Insta360 ONE RS」のメリット
マウント位置によっては、360度全方位撮影が可能
360度全方位を撮影することが可能です。
正直、裁判の証拠として使用された事例を知らないので、魚眼レンズとStiching技術で撮影された動画が、どの程度の証拠能力をもっているのか未知数ですが、全方位360度で撮れているので、他のカメラと比べて状況検証などは行いやすいと思います。
「
Insta360 ONE RS」をヘルメットマウントして撮影した映像。スワイプorマウスでドラッグすると方向を変えることが可能です。
「Insta360 ONE RS」をヘルメットマウントして撮影した動画。360度全方位で撮影可能。Youtubeに360°動画としてアップすると、視点方向の変更も可能です。
動画の撮影用カメラとしても利用できる
私も、バイク動画撮影用と、ドラレコの両方の目的で利用していました。
カメラ部分を単眼の4Kブーストレンズに付け替えれば、GoPro的に使用することも可能です。
私は北海道ツーリングの全行程を、360度4Kで撮影してきました。
360度、全方位で撮れているので、とても臨場感のある動画の撮影が可能です。
また、360度撮れているので、後から気に入った画角で写真撮影することも可能です。
ループ録画可能
ループ録画機能があるので、容量の少ないSDカードでも、録画することが可能です。
下記は、Insta360からの引用です。
ループ録画
ループ録画モードでは、ループ録画時間を1、3、5、10、15、20、25、30分から選択できます。 指定した録画時間で録画した後で、最も古い部分から録画が消去され連続して上書きされます。 例えばループ録画時間を5分に設定して30分間撮影すると、保存されるのは最後の5-6分間のみとなります。 このモードはいつ起こるかわからない事象を待機して録画する場合に便利な機能です。 カメラのストレージは待機中も一杯になることはなく、最後の最も美味しい部分だけが録画できます。
バッテリー容量は80分程度なので、別途、モバイルバッテリー等で電源供給が必要になります。
「Insta360 ONE RS」のデメリット
360度撮影するには、ヘルメットマウント or 自撮り棒をバイクに固定する必要がある
360度全方位で撮影するには、ヘルメットにマウントするか、バイクに自撮り棒を固定して撮影する必要があります。
私は、自撮り棒をバイクに固定して撮影したことはありません。
この棒かかげたまま、ツーリングでずっと走っていくのはちょっと…
ヘルメットにマウントして、ロングツーリングにでかけて、すべての行程を記録したことは何度かあります。
バッテリーが80分程度したもたないため、胸ポケットにモバイルバッテリーを入れて、そこからUSBでヘルメット上の「Insta360 ONE RS」へと接続して給電していました。
ヘルメットが重くなる上、ケーブルが邪魔なので、左右を確認したりするときは、首が重くて不快ですね。
また、高速などを走行している時は風の影響をモロに受けるので、首が痛くなります。
バイクのハンドルにマウントする場合は、自分の体が写ってしまうので、
後方以外の画角の撮影が可能です。
バイクのバッテリーからUSB給電できる人は、バッテリーの切れの心配もないと思います。
「Insta360 ONE RS」をバイクハンドルにマウントして撮影した映像。スワイプorマウスでドラッグすると方向を変えることが可能です。
バッテリーが80分程度しかもたない
4K 60FPSでの撮影で75分(公式数値)のため、長時間撮影には、モバイルバッテリーなどとの接続が必要です。
私はヘルメットマウントの際は、胸ポケットにモバイルバッテリーを入れて、そこからUSBで「Insta360 ONE RS」の接続して給電していました。
ハンドルマウントの際は、ハンドルに取り付けられたUSBから給電しています。
30分ごとに撮影空白部分ができてしまう
ドラレコとしての最大の欠点は、「Insta360 ONE RS」のシステム上、30分ごとに数十秒のインターバルが発生して、その間は録画がされません。
そのため、この間に事故が起こった場合は、証拠動画を撮ることができません。
360度動画はファイルサイズが大きいので、30分ごとにファイルを分割保存しているので、その影響のようです。
バイク用ドライブレコーダー「MITUBA EDR-21α」
「FITT360PB」を1年、「Insta360 ONE RS」半年程、併用して、11月に入り冬目前となったので、今年は首にマフラーを巻いて走りたいし、フードや襟のあるジャケットも着たいし、撮影空白時間に事故が起こるのは怖いし、ということで、いつもお世話になっている、トライアンフ東京さんに行って、在庫の残っていた「MITUBA EDR-21α」を取り付けてもらいました。
「FITT360PB」が63,800円。
「MITUBA EDR-21α」が取付工賃込みで、64,000円程度。
トライアンフ東京さんで昨年、BonnebileT120を購入した時に、素直に「MITUBA EDR-21α」を取り付けておけばよかったと思いました。
「FITT360PB」はとにかく、着けたり外したり、スイッチを入れたり、バッテリーを繋いだりが面倒な上、ちょっとでも襟やフード、髪の毛がカメラにかぶると撮影できていないしと、けっこうなストレスになっていました。
「Insta360 ONE RS」は、撮影空白時間がやはり気になりますね。
バイクに乗る際にはいちいちマウントして、トイレに行くときには、外して持ち歩くのも正直手間でした。
「MITUBA EDR-21α」前方の録画
ナンバーまでかなりはっきり写っています。
「MITUBA EDR-21α」後方の録画
かなりしっかり撮影されているのがわかります。
「MITUBA EDR-21α」メリット
とにかく楽!バイクの電源オン後数秒で録画開始
「FITT360PB」「Insta360 ONE RS」は、装着したりマウントしたり、録画開始時は自分で録画ボタンを押したりと、手間が結構かかりストレスでした。
「MITUBA EDR-21α」は、キーを捻ってお給電が開始されれば数秒で録画が開始されます。
また、バイクを停めてエンジンを切れば、「MITUBA EDR-21α」もオフに。
取り外してバックに入れる必要もありません。
使ってみて本当に思いましたが、とにかく楽!
バイクに乗るのがまた楽しくなりました。
今年の北海道ツーリング前につけていけば良かった…
バイク用のドラレコとしての安心感
バイク用ドライブレコーダーで有名な、ミツバサンコーワのドラレコなので、安心感がありますね。
常時撮影はもちろん、Gセンサーで衝撃時の録画撮影も行えってくれます。
バイクのバッテリーからの直接給電しているので、バッテリー切れの心配もありません。
「MITUBA EDR-21α」デメリット
前後のみの撮影で、左右撮影ができない
「FITT360PB」「Insta360 ONE RS」は、一応は全方位での撮影が可能です。
「MITUBA EDR-21α」は前後カメラのみなので、左右の画角の撮影はカバーできません。
真横からやられたらアウトかなと思いますが、前後カメラの画角もかなりの範囲をカバーしているます。
以上、「FITT360PB」「Insta360 ONE RS」「MITUBA EDR-21α」を使用してきたレビューになります。
ペーパードライバーな上、昨年夏に、中型大型バイクの免許を取って、BonnnebileT120に乗っている初心者バイカーが書いています。
購入の際は、自分でも色々調べて、エビデンスを確認すると良いと思います。
最後に、
「バイクにドラレコなんてかっこ悪い」
「プロテクターなんてつけてんだw」
「エンジンガードなんて恥ずかしくないのかね」
という、私と同年代やその周辺年代の、”いきってるおじさんバイカー”達がいますが、こういうとても恥ずかしい連中は、完全無視で良いと思います。
長年の経験者やプロが最も大切にしなければならないこと、それは、「安全性」の追求だと思います。
そういう大切なことを蔑ろにしている人達は、いつか自分で痛い目に遭うと思います。
現に私は弁護士事務所等で、そういった事例を沢山見てきました。
安心安全をキープして、末永くバイクを乗ることを楽しんでいきたいですね。
あと、対向車線で追い越し中に「バイクはドラレコつんでねぇから、対向車にぶつかるくらいなら、バイクにぶつけちゃえ」とか考える、そこの運転手さん。
最近はバイクもドラレコ積んでるし、保険で弁護士特約つけている人も多いので、逆に相当痛い目みるのは、そちらですよ!!